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Japanische Klassiker mit Furigana

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みっつのあざ

怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集

小酒井 不木

Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme

Aozora Bunko

こう思うと、私はだんだん、彼女に近づくことさえ怖くなり、後には彼女の存在をも呪うようになった。彼女は相も変らず茶の間に閉じこもり、「金毘羅大神」の額の下で、火鉢のそばで針仕事をして居た。

ある晩私が、無闇に酒をのみ、その夜に限って常になく酔って帰ると、彼女は白い布で何か作って居たが、私が傍へ行くと、つと、それを後ろにかくした。

「何だい、それは?」

こう言って、私は彼女にとびかかり乍ら、そのものを彼女の手から奪い取り、一目見るなり思わずも落してしまった。それは玩具の犬であった。

私はぎょっとした。

「なぜこんなものを作るのだ!」

「私近頃、犬の玩具が好きになったのよ。それも無理はないわ、私は戌年の生れだもの。あらなぜそんな怖い顔するの?」

こう言い乍ら、彼女は私の機嫌を取るために例の如く私にしがみついて、私の頬をなめた。その時私は常になくぞっとした。というのは、彼女の舌が犬の舌のようにざらざらして居たからである。恐らく彼女は、つい今しがた迄、泥を食べて居たために、舌がざらついたのであろうが、その時はもうそんなことを考える暇はなく、ただもう彼女が犬だという思いで一ぱいになった。