Japanische Klassiker mit Furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
彼は東京の留守宅から来た自分の子供の手紙をも読んだ。
「父さん。こないだは玉子のおもちゃをありがとうございました。わたしも毎日学校へかよって、べんきょうしています。フランスからおてがみを下さい。さよなら――泉太」
これは岸本が志賀の友人に托して、箱根細工の翫具を留守宅へ送り届けたその礼であった。手伝いする人があって漸く出来たような子供らしいこの手紙は、泉太が父に宛てて書いた初めての手紙で、学校の作文でも書くように半紙一ぱいに書いてあった。子供に勧めてこういうものを書かして寄したらしい節子の心持も思われて岸本は唯々気の毒でならなかった。
海は早や岸本を呼んでいた。出発前に節子から来た便りには、遠く叔父の船に乗るのを見送るという短い別れの言葉が認めてあった。岸本の胸はこれから彼が出て行こうとする知らない異国の想像で満たされるように成った。彼は神戸へ来た翌日、海岸の方へ歩き廻りに行って、図らず南米行の移民の群を見送ったことを思出した。幾百人かのそれらの移住者の中には「どてら」に脚絆麻裏穿きという風俗のものがあり、手鍋を提げたものがあり、若い労働者の細君らしい人達まで幾人となくその中に混っていたことを思出した。