Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
御蔭と岸本は好い案内者を得た。高い崖に添うて日のあたった路を上りきると、古い石造の寺院の前へ出た。欧羅巴風な港町の眺望は崖の下の方に展けた。
海は遠く青く光った。その海が地中海だ。ポオト・セエドからマルセエユの港まで乗って来る間で、一日岸本が高い波に遭遇った地中海だ。眼の下にある黄ばみを帯びた白い崖の土と、新しい草とは、一層その海の色を青く見せた。岸本は自分の乗って来た二本煙筒の汽船が波止場近くに碇泊しているのをその高い位置から下瞰して、実にはるばると旅して来たことを思った。
寺院の入口に立つまだ年若な一人の尼僧が岸本に近づいた。遠く東洋の空の方から来た旅人としての彼を見て何か寄附でも求めるらしく鉄鉢のかたちに似た器を差出して見せた。その尼僧は仏蘭西人だ。一人の乞食が石段のところに腰を掛けていた。その乞食も仏蘭西人だ。岸本は絹商と連立って寺院の入口にある石段を昇って見た。入口の片隅には、故国の方の娘達にしても悦びそうな白と薄紫との木製の珠数を売る老婆があった。その老婆も仏蘭西人だ。岸本は本堂の天井の下に立って見た。薄暗い石の壁の上には、航海者の祈願を籠めて寄附したものでもあるらしい船の図の額が掛っていた。