Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんせい

新生

島崎 藤村

Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme

Aozora Bunko

とても国の方では話し合わないような話が異郷の客舎に集まった教授等と自分の間に引出されて行ったことを想って見た。旅の不自由と、国の言葉の恋しさと、信じ難いほどの無聊とは、異郷で邂逅う同胞の心を十年の友のように結び着けるのだとも想って見た。彼は一緒にルュキサンブウルの公園を歩いたりリラの珈琲店に腰掛けたりした教授連に比べて見て、どれ程自分のたましいが暗いところにあるかということをも思わずにはいられなかった。

毎日のように並木街をうろうろしている不思議な婦人が窓の硝子を通して彼の眼に映った。恐らく白痴であろうと下宿の食堂に集る人達は噂し合って、誰が命けるともなく「カロリイン夫人」という名を命けていた。「カロリイン夫人」は紅い薔薇の花のついた帽子を冠り、白の手套をはめ、朝から晩までその界隈を往ったり来たりしていた。何を待つかと他目には思われるようなその婦人の姿を窓の下に見つけたことは、一層岸本の心を異郷の旅らしくさせた。

「姪ゆえにこんな苦悩と悲哀とを得た」

ある仏蘭西の詩人が歌った詩の一節になぞらえて、彼は自分で自分の旅の身を言って見た。丁度そこへ岡という画家が訪ねて来た。