Japanische Klassiker mit Furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
あまりに土地の子供等が煩く随いて来て、どうかすると後方から駆け抜けるようにしては五人の顔を見ようとするので、その画家はわざと子供等の方へ大きな眼球を突き付けながら、
「御覧」
と戯れて見せたこともあった。岸本等が着いたことはこれ程土地の人にはめずらしかった。入口の庭には葡萄棚があり裏には野菜畠のあるような田舎風の家で、岸本は巴里の方から来た主婦や主婦の姪と一緒に成った。
「この一番年長の方が岸本さんです。こちらは牧野さんと仰って矢張巴里に来ていらっしゃる美術家です」
こんなことを言って、主婦は姉という人に岸本等を引合わせた。黒い仏蘭西風の衣裳を着けた背の低いお婆さんは物静かな調子で一々遠来の客を迎えた。
土地の子供の煩さかったことは、葡萄棚に近く窓のある食堂で岸本等が楽しい夕飯に有付いた時にも石垣の外から覗きに来るものがあるくらいであった。こうした場所にも関わらず、停車場前に戻り、そこに一夜を送って、サン・テチエンヌ寺の塔を宿屋の窓の外に望みながら朝霧の中に鶏の声を聞いた時は、実に彼は胸一ぱいに好い空気を呼吸することの出来る静かな田舎に身を置き得た心地がした。