Japanische Klassiker mit Furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
そんなに叔父さんは沈黙を守っていて、この自分を可哀そうだと思ってはくれないのかと書いてよこした。
名状しがたい心持が岸本の胸中を往来した。日頃一種の侮蔑をもって女性に対して来たほど多くの失望に失望を重ねた自分の心持がそこへ引出された。姪を憐み、姪を恐れることはあっても、決して彼女の想像するようなものでは無かった自分の心持がそこへ引出された。節子のことを考える度に、きまりで思出すのは義雄兄の言葉であって、「お前はもうこの事を忘れてしまえ」と言ってくれたあの兄に対して来た自分の心持もそこへ引出された。この岸本の堅く閉した心の扉の外に来て自分を呼びつづけていたような姪の最後の声を聞く気がした。根気も力も尽き果てたかと思われるようにその扉を叩いた最後の精一ぱいの音を聞きつけたような気がした。
煖炉には赤々とした火がさかんに燃えていた。倹約な巴里の家庭では何処でも冬季に使用する亀の子形の小さな炭団が石炭と一緒に混ぜて焚いてあった。岸本は嘆息して、姪から来た手紙も、覚束ない羅馬文字で彼女自身に書いてよこした封筒も、共に煖炉の中へ投入れた。見る間に紙は燃え上って、節子の文字は影も形もなくなった。