Japanische Klassiker mit Furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
幻の清浄を体得するよりも、寧ろ如幻の境に暫く倦怠と懶惰の「我」を寄せたいのである。睡っている中に不可思議な夢を感ずるように、倦怠と懶惰の生を神秘と歓喜の生に変えたいのである。無常の宗教から蠱惑の芸術に行きたいのである……斯様に懶惰な僕も郊外の冬が多少珍らしかったので、日記をつけて見た。去年の十一月四日初めて霜が降った。それから十一日には二度目の霜が降った。四度目の霜である十二月朔日は雪のようであった。そしてその七日八日九日は三朝続いたひどい霜で、八ツ手や、つわぶきの葉が萎えた。その八日の朝初氷が張った。二十二日以後は完全な冬季の状態に移って、丹沢山塊から秩父連山にかけて雪の色を見る日が多くなった。風がまたひどく吹いた。然し概して言えば初冬の野の景色はしみじみと面白いものである。霜の色の蒼白さは雪よりも滋くて切ない趣がある。それとは反対に霜どけの土の色の深さは初夏の雨上りよりも快濶である。またほろほろになった苔が霜どけに潤って朝の日に照らさるる時、大地の色彩の美は殆ど頂点に達するのである。この時の苔の緑は如何なる種類の緑よりも鮮かで生気がある。あだかも緑玉を砕いて棄てたようである。