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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんせい

新生

島崎 藤村

Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme

Aozora Bunko

この節子の答えは岸本を静止さして置かなかった。実際、旅から帰って来た彼をもう一度節子に近づけたのも、あの不思議な低気圧であったから。

「ああそうか。そうだったのか」

と岸本は思い出したように言って、古い墓石の並んだ前をあちこちと歩いて見た。三年も節子が待受けていたのは、良い縁談でもなく、出世の道でもなく、旅から帰って来る岸本であったということが、最早疑問として残して置く余地も無くなって来た。節子に起って来た憂鬱の何であったかは、旅で貰ったかずかずの手紙の内容と相待って、何もかも一息に岸本の胸に解けて来るように成った。

「もう低気圧は起りません」

節子は感慨の籠った調子でそれを言って見せて、やがて墓の隅を離れた。

「椿が咲いてますね」

と節子が言出した頃は、彼女は既に崖を上って、新しい墓のある傾斜の地勢を岸本と一緒に歩いていた。しばらく二人で腰掛けて来た墓地の一区域も眼の下に見えるように成った。

「でも、三年の間よくそうして待っていられたね」と岸本は歩きながら節子の方を顧みて、「お前の手でも悪くなかったら、そうして待ってはいられなかったかも知れない」

「そうですね。