Japanische Klassiker mit Furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
あの人に逢いましたよ。お父さんの行く眼の病院で……あの人も今では眼科の方の助手なんでしょう」
しばらく節子の話は途切れた。その沈黙の何であるかは物を言うよりもはっきりと岸本の胸に通って来た。
「お前のお母さんは、一体どうなんだろう」と岸本はその沈黙の続いた後で言出した。「お母さんは『あの事』を知ってるんだろうか――」
「お母さんは知っていましょうよ」と節子が言った。
「輝はどうだろう」
「姉さんも知っているかも知れませんよ。丁度姉さんがお産で帰って来た時は、私はこの家に居ませんでしたからね。姉さんがお父さんの方へ行って聞けば、お母さんに行ってお聞きと言われるし、お母さんの方へ来て聞けば、お父さんに行ってお聞きと言われたなんて――姉さんだって不思議に思ったんでしょう。あの時分はお父さんは未だ名古屋でしたからね」
「そんなら、お愛ちゃんは?」
「さあ、根岸の姉さんもどうですかねえ……」
と節子は言い淀んだ。復たしばらく二人は無言のまま対い合っていた。
「何だか、すこし変な気がして来た」
と岸本が言うと、節子はそれを受けて、
「しかし、もうお話に成りましたよ」
深い溜息でも吐くように、彼女はそれを岸本に言って見せた。