Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんせい

新生

島崎 藤村

Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme

Aozora Bunko

植物の好きな節子は岸本の知らない間に自分で萩の根の始末をして、一年半の余を叔父と一緒に暮した家の記念として、新規な住居の方へ運んで行くばかりにして置いてあった。やがて待侘びた朝が来た。

「泉ちゃんも、繁ちゃんも、いらっしゃい。おべべを着更えましょうね」と節子は二人の子供を呼んだ。

「彼方のお家へ行くんですよ」

と婆やも子供の側へ寄った。

針医の娘は兄弟の子供の着物を着更えるところを見に来た。泉太も、繁も、知らない町の方へ動くことを悦んで、買いたての新しい下駄で畳の上をさも嬉しそうに歩き廻った。

岸本は二階へ上って行って見た。もっと長く住むつもりで塗り更えさせた黄色い部屋の壁がそこにあった。がらんとした書斎がそこにあった。硝子戸のところへ行って立って見た。幾度か既に温暖い雨が通過ぎた後の町々の続いた屋根が彼の眼に映った。噂好きな人達の口に上ることもなしに、ともかくも別れて行くことの出来るその朝が来たのを不思議にさえ思った。

最近に訪ねて来てくれた恩人の家の弘の言葉が不図岸本の胸へ来た。

「菅さんの言草が好いじゃ有りませんか。『岸本君は時々人をびっくりさせる。