Japanische Klassiker mit Furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme
遥か、向う側になる山岳の裾までも、その青い苗の波つづきである。
「田植が済んだなあ」
「あしたは、百十ヵ村で、お祭りするんだと云っています。そのお祭りをするために、気を揃えて、何処の村もみんな今日までに植付けを済ましたんだという事でした」
「ほう……そうか」
「うれしいでしょう……お父様」
「お珠……おればかりが欣しそうだな」
お珠はドキッとして慌てて、
「そ、そんな事あるもんですか。……私は何も考えてやしません」
「じゃあ、云わして貰おうか。欣しいぞお珠、おれは欣しくて、じっとしていられない気がするんじゃ。アア早く明日になれ、百十ヵ村で吹きたたく笛太鼓をおれは聞きたい」
「お父様の力で、今までの洪水も出なくなり、沼や河原ばかりだったこれだけの広い地面から、苗の青い風がそよそよ吹くようになりました」
「わしの力。……そうでない、やっぱりみんなの力だ。ただそれに鞭を打つ鬼があっただけだよ」
「もう、鬼なんて、一人だって云ってる人はありません。百十ヵ村の救いの神様だと云ったりして、明日は、この山へ笛や太鼓を担いで来て、お父様をみんなが慰めるんだと云っておりました」
「そうだ、お珠。