Japanische Klassiker mit Furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme
……百姓達はまだ、あの田から、まだこの秋にならなければ、ほんとの米を収穫ことは出来ないのだ。祭りをしても、それは随分苦しい中の才覚だろう。多年疲れきっている懐中へ、少しでも、費えをかけては済まん。……お前は、そこの鍵を持って行って、麓の役所に残っている藩のお金をみんな出して、五所川原から酒を買え、有りたけの金で酒や肴を買いあつめてくれ」
「えっ、藩のお金ですか」
「殿様へ申しわけは、わしが立派にする。恐らく殿様も、お怒りはなされまい。――心配せんでいい。この秋には、新田から少なくも一万石の米が収穫るだろう。年ごとにもっと収穫てゆくぞ。なぜならば、わしの信念が、百姓たちの信念になったからのう」
「じゃあ、行って来ます。……いいんですか、ほんとに」
「ウム! 今から五所川原まで行けば、夜になる、買物も揃うまい、久しぶりでおまえも、町の中で泊って来い」
「ことによると、そうなるかも分りませんが、明日の朝は、買物を馬に着けて戻って参ります」
小屋を出て行ったと思うと、お珠は、また駈け戻って来て、
「お父様、福原主水様がいらっしゃいました」
と告げた。――その後にすぐ、新しい草鞋をはいた主水の雲水姿が立った。