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Japanische Klassiker mit Furigana

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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme

Aozora Bunko

「実は、この間の晩、綿屋のお嬢さんと、帰り途でいっしょになった時、手前がついつまらないことを、口に辷らせたので」

「何を……」

「その……何とも……申し難いことですが、このごろ、社家様のお宅では、滞留客でもいらっしゃるのか、お米の御用が、前よりもよけいになったと」

おかやは、さっと、顔いろを変えたが、すぐホホ笑んで、

「ああ、この間うちは、主人の詩歌のお友達が、行脚の途中、しばらく泊っていたからですよ」

「手前も、多分、そんなことだろうと存じて、何気なくしゃべったんですが、それをお那珂様が、どうおとりなすったのか、代官所へ密告なすッたんで」

「げッ……? ……ほんとですか」

「ちらと、耳にしたんで、手前も仰天してしまい、せめてものお詫びにと、お知らせに飛んで来ました」

「そうですか。役人衆がお調べに来て下されば、世間の疑いが晴れて、かえって、宅の方では結構です。けれど、御親切のほどは、よく主人にも伝えておきますよ」

穀屋の若いものが、帰って行くと、おかやは、慌ただしく良人の部屋へ来て、耳打ちした。

粂之介は、嘆息して、

「ああだから女には、心をゆるせない。だが、磋磯之介には聞かせぬがよいぞ」