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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろきちこうし

治郎吉格子 名作短編集(一)

吉川 英治

Lesen Sie 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.609 Zeichen · 362 Bildschirme

Aozora Bunko

そして、しんみりと、

「どうじゃろうの、おぬしの気性と……」

「おっ母、おら、お稲さんとなら、きっと合性がいいと思うぜ」

「でも、先がよ……」

「お稲さんだって、おらの恩は、忘れねえといってくれた。おっ母、ひとつ、話してみてくんねえよ……よう、よう」

「この子は」

と、おしげは少しあきれたように、

「――どうかしている」

「あ、おらあ、正直にいうよ。おっ母のまえだが、おらお稲さんに、惚れてるんだ」

――でもおしげは、老女だけに、なかなか口をきらなかった。百は狭山の叔父にたのもうかと考えたが、例の七兵衛に入れてある証文が不安であるし、そのうちにまた、お稲が、こんな野鍛冶の家に嫌気がさしては――などと惑われて、ふいごの前に坐っても、どうも、仕事が手につかない。

一雨ごとに、芒はのびて、もう武蔵野は、夏めいてくる。

その日は二人きりだった。おしげは、相談事があるといって、遠くもない狭山へ泊りがけで、行ったのである。それも、から身ではなく、孫みたいにしているお稲の子を負ぶって。

「百さん、きょうは、早仕舞にしない?」

お稲は少しういた声で、先に風呂にはいって、洗い髪にうす化粧をして、