Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
じろきちこうし
治郎吉格子 名作短編集(一)
吉川 英治
Lesen Sie 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.609 Zeichen · 362 Bildschirme
――それまではなかった。七の放言が、狂人のたわ言と聞かれても、そのころでは、無理がなかった。
慎吾は、睨みつけて――
「じゃ貴様は、きっと赤が出せるというのだな」
と、つよく念を押した。
「おお、おらあ出して見せる。だから、気の毒だがおれの仕事にゃ、一切かまわねえでくれ」
兵助老人は、あまり激しいので、手を出しかねていたが、とうとう横から口を出した。
「これ、七! 何というこった。次席家老の御子息に対して、その口はなんだ!」
「仕事のことです! へい、仕事の上なら、あっしゃ、誰にだって、どんなことだって、いわずにゃおきません」
「仕事に熱いのはよいが、礼儀も、理非も滅茶滅茶になっては困る。――慎吾殿、勘弁してやって下さい。悪気のない奴じゃが、こういう持前なので」
老人のことばには、二人ともやわらいだ。とすぐ、七の眼がチラとお芳を見つけた。――その眼を、慎吾も感じて、振りかえったと思うと、彼は、四名の同僚に手や腰をすくわれながら立ち上がって、
「無学のやつは度し難いものだ。しかし、このままでは、藩の御威光にもかかわる。――いずれ貴様の仕事場へ参って、今夜の鳧をつけるから左様心得ろ!」