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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろきちこうし

治郎吉格子 名作短編集(一)

吉川 英治

Lesen Sie 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.609 Zeichen · 362 Bildschirme

Aozora Bunko

この中には、おれの骨もけずり込まれている。血もはいっている、癇癪すじも涙も詰まっている、いや恋さえはいっているんだ。――古屋敷の床下の土からとった物や死んだお千代後家の脂までも。

――無理やねえ、雨気をもった暗い晩、こんなのがあがるとひゅッと泣いて、青い火が降るとぞっとするようなことがあらあ。やっぱりこいつあ化物の類だろうよ。

七は、自分の作った八寸玉の、その重量にさえ、一種の気味わるさを感じるのだった。

彼にいわせると、花火は、生きてる化け物だという。あの怪奇な、あの蒼白い妖焔の幻滅する間際に、自分の魂というものを考えると、知らない女とでも死にたくなるという。――そうかと思うと、こっちの胸に火の移る恋でもある時は、どーんとひらいた柳の中へ、ふところの金でも何でも、追っかけに抛り上げたいような狂躁にも唆られる。だが、両国などの熱鬧した花火の晩のあと、暗い霧が落ちて、しいんと都会が冷たくなる時の陰気さはなんともいえない。やっぱり花火は生き物で、妖怪さ。

七は今も、そんなことを考えながら、巨大な妖怪の玉を、押入れの奥にしまいこんだ。

「さ。いつでも来い」