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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろきちこうし

治郎吉格子 名作短編集(一)

吉川 英治

Lesen Sie 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.609 Zeichen · 362 Bildschirme

Aozora Bunko

「あっ、七!」

と、立ちすくんだ。

「あぶねえぜ、おれの体は、どこを触っても火薬玉が飛ぶんだから」

すうっと、表へ来てみたが、そこの階下も人間でいっぱいらしい。

物干し台へ出て、お芳の手をしっかと持ったまま、屋根へ移ろうとすると、星祭りの笹へ、お芳の袂が触れて、そばの紅蝋燭が火のついたまま部屋の中へ転がり落ちた。

自分を求める捕手の侍たちの怒号が、七の耳におかしく聞えた。善光寺の境内を走って、裏山の中腹に腰をおろした時である。彼は初めて、うしろの空が赤く染まっているのに気がついた。半鐘の音も鳴っている。

「あ……あの蝋燭だ。巽屋にゃ世話になったのに、悪いことをしてしまったな」

その時、火事の空の中で、耳の破れるような音響がした。

おやっ?

見ると、炎の巽屋の屋根から、ツツツツと細い火の柱が無数に空へつきぬけた。凄まじい爆音は絶えまなく空に裂ける! そして、ぱあと空いちめんが花火になった。流星、狂い獅子、七ツ傘、柳、五葉牡丹、花ぐるま。

花火に重なる花火、爆音につづく爆音、滅茶滅茶な火の乱舞、光の狂射、色の躍り、善光寺の町はあらゆる色に変って明滅した。