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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろきちこうし

治郎吉格子 名作短編集(一)

吉川 英治

Lesen Sie 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.609 Zeichen · 362 Bildschirme

Aozora Bunko

「川縁の下駄も、遺書も、俺のさせた狂言で、うまく国許をずらかってから、彼女は、江戸で女師匠、俺は、持ったが病の博奕、酒。……四年のあいだ苦労をさせたが、つい先頃、風邪が原因で、死なしてしまった」

「ふーむ、そうか。じゃあお里は、江戸で貴公と暮していたのか」

「そんな、こんなで、今さらあれの弟の丈八郎へ、いくら兵部様の名指しといっても、俺からは、ちと」

「なるほど、尤もだ。――そして御家老の兵部様が、木村丈八郎へお眼をつけなすッたのも、遉がに、鋭い。年は若いが、あれなら、吉良殿の付人として申し分はない。腕では、赤穂の浪士のうちでも、丈八郎ほどなのは少ないだろう」

「だが、今の話は、貴公たちだけに、打ち明けたのだ。――行っても、丈八郎には、どこまで、俺とお里の事は内密に」

「いいとも、もう先でも、諦めていること、何も好んで……。それよりは、吉良殿の方の一件を」

「すぐ、行ってくれるか」

「吉報を、待っていろ」

翌日は――と首を長くしていたが、沙汰がない。次の日も、二人は、見えなかった。

「こじれているな、話が」

そう感じて、一角は、なお二人から返辞のいいことを祈った。