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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろきちこうし

治郎吉格子 名作短編集(一)

吉川 英治

Lesen Sie 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.609 Zeichen · 362 Bildschirme

Aozora Bunko

話が、不調とあれば、首にして、江戸へ連れて帰るだけの事。――貴公たちは、先へ、発足してくれ。そして、兵部様へ、丈八郎の方は、百に一つ、見込みが難しいとお告げしておいて貰いたいが」

「承知した」

その晩のうちに、湧井と青砥は、脱藩して、城下から姿を消してしまった。――軽輩だけに大した余波もないらしいが、一角は、後に残って、これからが、仕事だと思った。

(丈八郎を、暗討ちするか――もう一度、ぶつかって、心を翻させてみるか――)

に、彼は、迷った。

五日目ぐらいには、宿をかえて、宵になると、番士小路の木村丈八郎の家の附近をうろついていた。丈八郎は、米沢城の乾門番士、禄は、高々百石たらずである。夜勤交代で一日おきには、家にいない事になるらしい。

(討つ気なら、造作はねえが?)

一角は、そう考えたが、毎夜のようにのぞく彼の家に、留守をしている二人の姉妹を見ると、そんな気もちは失せて、

「成程、青砥弥助が言っていたが、この家は、美人の血統だ」

と、感心した。

自分と逃げて、江戸で終ったお里は一番娘であった。そのお里に、まるで、生写しに、似ているのが、いつぞや、墓地で見かけた、二番娘のお八重。