Japanische Klassiker mit Furigana
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じろきちこうし
治郎吉格子 名作短編集(一)
吉川 英治
Lesen Sie 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.609 Zeichen · 362 Bildschirme
ばかな、そりゃ大名の頭を撫でそやしておく、お世辞というものだ」
「いえ、決して世辞ではござりませぬで、御賞美の余り、もう一つ、黒木の御書院へ置く陶器をという御懇望、ほかならぬお方のおねだり、いやとは殿も仰せ兼ねます。久米一殿、頼母がかくの如く両手をついてお願い申す、お家のためと思うて一つおかかり願いたい」
「ははあ、分った」
「えっ……?」
「そりゃ将軍家へ行くんじゃあるまい。この久米一もそろそろ歳だ。いつぼけるか分らないから、このへんで、一生一品な物を作らしておこうという考えだろう」
「いや、まったく、左様なわけではござらぬ」
「隠しなさんな。よし、よし、おれも随分鍋島家には世話をやかせた、おれの傲慢に腹を立って、切腹した家来まであるからな。それにいくら久米一だって、そうそう若さも続くまい、一つこれを最後に何かやって見よう」
「えっ、御承諾下さいまするか……」畳を下がって礼をのべた。あたかも主君へ対する作法である。その上、夥しい金布の贈物を残して、刈屋頼母、大川内の峡から駕を戻して行った。
「さあ、女ども、足を揉め、足を」
久米一はすぐにゴロリとなって、前の若い女達を呼んだ。