Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

じろきちこうし

治郎吉格子 名作短編集(一)

吉川 英治

Lesen Sie 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.609 Zeichen · 362 Bildschirme

Aozora Bunko

久米一がいった。いつか窯焚きの百助を蹴落した時に、「おれのわざはこんな山の中に封じられて終るような小さなものではないと。偉大なものは世の中へ溢れ出ずにはいない」と。そうだ、ましてや杢之進の持つ弄具同様な十手や捕縄で、その溢れる力がせき切れるものか! ……

しかし彼の心が、再びこの山村の平和に退屈しても、なお、これ以上の波瀾を欲するかしら? それは杢之進にも分らない。ただ当座は、一刻も早く陶器山の静まるのを念じたに違いない。

×   ×   ×

佐賀の城下で、陶工久米一が断罪となる日、彼の持窯――黒髪山の御用窯も破壊された。破壊された中から生れた物があった。それは太守も、刈屋頼母も、まったく望みを絶っていた、増長天王の陶器像。しかも一点の瑕なく彫琢の巧緻染付の豪華絢麗なこと、大川内の山、開いてこの方、かつて見ない色鍋島の神品。さらに、焼きの上がりも無類であった。

鍋島肥前守は、山役人から、その欣ばしい報らせをうけると、直ちに、久米一助命の急使を走らせた。

急使は刑場へ間に合ってついた。

だが、久米一の助命はかいないことであった。なぜといえば、彼は、刑場へ来る途中、すでに、刀も待たず、枯木の折れるように、死ぬともみえず老衰で死んでいた。