Japanische Klassiker mit Furigana
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じろきちこうし
治郎吉格子 名作短編集(一)
吉川 英治
Lesen Sie 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.609 Zeichen · 362 Bildschirme
空寝入りでなく、ほんとにその頃になって、彼はやっとトロトロした風だった。
「なんですか、親方」
「てめえ達ゃ、今日取られてきたな」
のっけに醤油賭の敗北を言いあてられて、ガンと鉄鎚を食ったように、
「へい」
と六人とも、悄気た首を垂れてしまった。
「馬鹿に大人しいじゃねえか、取られてベソを掻くくらいなら博奕をするな」
「へい……怖れ入りました」
「何も怖れ入る事はねえ、ほんとだ、博奕をやるくらいな量見のくせに、取られたからって、餌乾になったキリギリスみてえに、いやにひッそりして歯軋りを噛んでる奴があるものか」
「もう、懲りました。口惜しくッて堪りませんが、もう諦めます」
「意気地のねえことを言うな。明日――と言っちゃ少し早いが、四、五日置いてもう一番やって見ろ」
「え? ……」
「おれがきっと勝たしてやる」
「まったくですか親方」
みんなが息を吹っかえしたように、
「じゃ親方、すみませんが、今度は、あっし達の体を抵当に、十両ばかり工面しておくんなさい。そして、野郎に嫌が応でも二升五合賭で果し合いを申込んで、こっちが飢え死するか、伝公の奴が血ヘドを吐くか、最後の勝負をしてやります」