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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろきちこうし

治郎吉格子 名作短編集(一)

吉川 英治

Lesen Sie 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.609 Zeichen · 362 Bildschirme

Aozora Bunko

永いこと家庭をもたぬ人の特長として、ひどく青年らしいところもあるが、年は三十四、五だろう、すべてが「冷たい感じの人物」である。

その三五兵衛が、「八寒嘯」の字義を気にかけるなどは少しおかしいが、同性相忌むというから、彼のような冷徹な型の人間は、かえって、つよい温か味を欲するのであるかも知れぬ。たとえば女のようなもの。――それも凡な女ではなく、いつも火のような情炎を肌のあぶらに焚いている女の……。

×   ×   ×

「ほ。仁和寺流……」

三五兵衛は標札に足をとめて、静かな構えの玄関をのぞいた。

萩の袖垣に、塗障子の床玄関、笛師らしい住居である。

「旅先のものでござるが、お珍しいお流儀、同好なれば、何とぞ一曲御指南を」

野袴のチリをはたいて、取次をたのむ。

通されて、三五兵衛は笛師春日平六という人品のいいおじいさんの前へ出た。

「吹いてごらんじゃい」

彼はつつしんで、八寒嘯を袋からとり出し、漢曲の月騒恨をひとくさり吹いた。

老笛師平六はうなずいて、

「まあ、そんなもんじゃな。だが、一噌でなし千野流でなし……どなたに師事れたの」

「我流でございます、ただすきなために」