Japanische Klassiker mit Furigana
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じけいろく
自警録
新渡戸 稲造
Lesen Sie 自警録 (じけいろく) von 新渡戸 稲造 (にとべいなぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 168.224 Zeichen · 328 Bildschirme
右のごとく考え来たれば一匹なる言葉には、やはり幾分か侮辱の意が含まれているごとく思われる。けだし聖人君子高僧等より見れば、普通にわれわれの賞賛する武勇は猛獣の勇気に類したもので、孟子のいうところの匹夫の勇に過ぎぬ。わが武士道においてもかくのごとき勇気をもって猪勇と称し、深く尊敬しなかったものである。しかしこれは高き見地より見てのことであって、社会がいまだ法治の階段に進まない時代には、武勇は社会の安全に対する保障で、武勇なければ生命も財産も危険に瀕するばかりである。今でも一朝事ある際には、たちまち一国が猛烈なる所為に出る。沙翁の言に、
「ラッパの音のわが耳に響く時は吾人のまさに騎虎の行動を倣うの時なり」
と。暴虎馮河の徒には孔子は与せずといったが、世俗はいまだ彼らに敬服する。昔時、ローマ時代には徳という字と勇気という字とは二つ別々に存在しなかった。勇すなわち徳、徳すなわち勇と考えられていた。かかる時代にはよしや動物性が混じ、匹夫の勇以上に昇らずとも、それが尊かった。しかして男子として褒むべきはこの種の勇を有したからで、国がやや進歩し、法律をもって善悪曲直を判別する時代にいたっても、依然としてなお匹夫の勇が尊ばれ、男を褒むるに一匹の言葉をもってしたものであろう。