Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
人々は、女も男も、やっぱりズック靴をはいている。それが、清潔に洗ってあるか、さらであるかというちがいだけで人々はおととし、伸子が見たとおり、てんでんばらばらに、つましいメーデーの晴着をつけているのだった。
行進で陽気に溢れている歩道にそって歩きながら、伸子の胸はしめつけられた。これらの人々は、自分らの身なりは二の次として、ことしのメーデーには組合の旗、細胞の旗をよくし、プラカートも念入りにこしらえ、ブラスバンドまでもって行進に出て来ている。その雰囲気には、労働者階級としてのほこりと、一人一人が生きていることについて抱いている確信が語られていた。失業者が多いメーデーとは、どんなものか。伸子はワルシャワの広場の陰惨な空気を、カフェーのガラスに押しつけられていた男のしなびた蒼黒い横顔を思い出した。
素子の指さきをきつく握りしめたまま、伸子は熱心に行進を見ていて、そういう感想については、云わなかった。伸子にとってそういう思いは、心の奥底からの真実の思いであり、素子の賢くて皮肉な唇の歪めかたを見たいと思わなかったのだった。
でも、素子もやっぱり、感じるものは感じている。