Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 231 525 caractères · 463 écrans
七
「城太さん、何を拾っているの。早くお出でなさいよ」
「待ちなよ、お通さん」
「ま、そんな汚い手拭なんか拾って、どうするつもり?」
七
門のそばに落ちていた手拭であった。手拭は今しぼったように濡れていた。それを踏んづけてから城太郎は抓み上げて見ていたのである。
「……これ、お師匠様のだぜ」
お通は側へ来て、
「え、武蔵様のですって」
城太郎は、手拭の耳を持って両手にひろげ、
「そうだそうだ、奈良の後家様のうちでもらったんだ。紅葉が染めてある。そして、宗因饅頭の『林』という字も染めてあら」
「じゃあ、この辺に?」
お通が遽かに見まわすと、城太郎は彼女の耳のそばでいきなり伸び上がって、
「――おッしょう様あっ」
傍らの林の中で、さっと樹々の露が光り、鹿でも跳ぶような物音がその時した。――びくっとお通は顔を回らして、
「あっ?」
城太郎を捨てて、突然、驀しぐらに走り出した。
城太郎は後から息をきって追いかけながら、
「――お通さん、お通さん、何処へ行くのさ!」
「武蔵様が駈けてゆく」
「え、え、どっちへ」
「彼方へ」
「見えないよ」
「――あの、林の中を」
武蔵の影をチラと見た欣びに似た失望と――見る間に遠く去ってゆくその人へ追いつこうとする女の脚のいっぱいな努力で、彼女は、多くの言葉を費やしていられなかった。