Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 231 525 caractères · 463 écrans
三
そしてすぐ、散らかってしまった。
「――試し矢だな」
わざと、彼は動かずにじっとしていた。間もなく、中国山脈の背を西へ荘厳な落日の光耀はうすずきかけた。
夜が待たれた。
起って、彼は、小石をひろった。彼の晩飯は空を飛んでいるのだ。小石を投げると、空から、小鳥が落ちた。
その小鳥の生肉を裂いて、むしゃむしゃ喰べていると、二、三十人の番士たちが、わっと声を合せて、彼のまわりを取りかこんだ。
三
武蔵だ。宮本村の武蔵だ。
近寄ってから、気づいた声である。番士たちは、わああっと、二度目の武者声をあげ、
「見くびるな、強いぞ」
誡め合った。
武蔵は、くわっと、殺気に対して殺気に燃える眼をした。
「これだぞッ」
大きな岩を、両手にさしあげ、輪になっている人間たちの一角へ向って、どすんと抛りつけた。
その石は、真っ赤になった。鹿みたいにそこを跳びこえて、武蔵は走っていた。逃げるのかと思うと、反対に、番所のほうへ向って、獅子のような髪の毛を逆立てて駈けてゆく。
「ヤヤ彼奴、どこへ?」
番士たちは、呆ッけにとられた。眼のくらんだ蜻蛉のように、武蔵は飛んでゆくのだ。
「気が狂ッているんだ」