Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 231 525 caractères · 463 écrans
二
と、親切に訊ねてくれる。
城太郎は、額ごしに、ちらと市女笠のうちの女の顔を見たが、
「うん……」
うつつに頷いたきりでまた、すぐ眼は地上を辿って、頻りに首を傾げていた――
二
「お金?」
「う、う、ん」
何を訊いても、城太郎の耳には、うわの空であった。
旅の若い女は微笑んで、
「――じゃあ、紐のついている一尺ぐらいな竹の筒ではありませんか」
「あっ、それだ」
「それなら、先刻そなたが、万福寺の下で、馬子衆の繋いでおいた馬に悪戯をして呶鳴られたでしょう」
「ああ……」
「びっくりして逃げ出した時に、紐が切れて往来へ落ちたのを、その時、馬子衆と立話しをしていたお侍が拾っていたようですから、戻って訊いてごらん」
「ほんと」
「え。ほんと」
「ありがと」
駈け出そうとすると、
「あ、もしもし、戻るにも及びません。ちょうど彼方から、そのお侍様が、見えました。野袴をはいて、にやにや笑いながら来るでしょう。あの人です」
女の指さす方を見て、
「あの人」
城太郎は、大きな眸で、じっと待っていた。
四十がらみの偉丈夫である。黒い顎髯を蓄え、肩の幅、胸幅も、常人よりずっと広くて、背も高い。革足袋に草履穿きのその足の運びが、いかにも確かに大地を踏んでいるというように見えて立派である。