Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Lisez 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 231 525 caractères · 463 écrans

Aozora Bunko

沢庵さんに縛られたあの時の様子や先刻からの言葉を聞けば、この人は、涙もろい、気のよわい、情けの半面すら持っている。

今までは、衆評にまき込まれて、自分も武蔵という人を考え違いしていた。――どこにこの人を、悪鬼のように憎むところがあろう、猛獣のように怖がったり狩立てなければならない性質があるだろうか。

「…………」

背にも肩にも嗚咽の波を打ちながら、お通はひしと千年杉の幹を抱きしめるような気持でいた。頬の涙を、樹の皮膚へこすりつけた。

天狗がゆするように、天の梢が鳴りだした。

ポッ! と大きな雨つぶが、彼女の襟もとへも、沢庵の頭へもこぼれて来たのである。

「お! 降って来たわ」

頭へ、手をやりながら、

「おい、お通さん」

「…………」

「泣き虫のお通さん、そなたが泣くので、天までベソを掻いて来たじゃないか。風があるし、これや大降りになろう、濡れぬうちに、退散退散。死んでゆく奴にかまっていないで、はやくお出で」

すぽりと法衣を頭からかぶると、沢庵は、逃げるように本堂の内へ駈け込んでしまう。

雨は、やにわに降りそそいで来て、闇のすそが、真っ白にぼかされた。

ぽたぽたと背に落ちるしずくの打つにまかせて、お通はいつまでも動かなかった。