Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 231 525 caractères · 463 écrans
「逸したか」
と一同は、地だんだを踏んで無念がった。
それのみでなく、ここは国境なので、役人が来て、
「徒党を組んで通行は罷りならぬ」
と、往来を阻めた。
それに対しては、権叔父が応対に出て、事情を話し、
「これを捨ておいたでは、われら遠き先祖以来の面目にかかわり、村の者よりは笑いぐさとなり、本位田家は、御領下にもいたたまれぬことに相成りますので。――何とぞ、武蔵、お通、沢庵の三名を討ちとるところまで、通行おゆるし願いたい」
と、こっちでは、頑張った。
理由は酌めるが、しかし法令がゆるさぬ、と役人側では断じていう。もっとも、姫路城まで伺いを出して許可のうえなら格別だが、それでは先に通った者は、遠く藩地の外へ出てしまっているから、それでは無駄な沙汰というほかはない。
「では――」
と、お杉隠居は、親類一同と、合議のうえで折れて出た。
「このばばと、権叔父の二人なら通るも帰るも、さしつかえはおざるまいの」
「五名までなら、勝手じゃ」
役人は、いった。
お杉隠居は、うなずいて、意気まく他の人々へ、悲壮な別れを告げようとするらしく、
「皆の者」
と、草叢へ呼びあつめた。