Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 231 525 caractères · 463 écrans
また、諸国の地理水利を測り、土民の人情や気風をおぼえ、領主と民のあいだがどう行っているか、城下から城内の奥まで見きわめる用意をもって、海内隈なく脚で踏んで心で観て歩くのが、武者修行というものだよ」
まだ幼稚な者に向って、説いても無益と思いながら、武蔵には、少年に対しても、よいほどにものを誤魔化しておくということができない。
城太郎の諄いような質問にも、面倒な顔もせず頻りと、噛んで含めるように答えてやりながら歩いていた。――すると二人の背後へいつの間にか近づいていた馬蹄の音があって、その馬上から恰幅のよい四十がらみの侍が、
「傍へ。傍へ」
声をかけて、通り越した。
ひょいと、その鞍の上を仰いで城太郎は、
「あっ、庄田さんだ」
と、口走った。
その侍の顔が、熊のようなあご髯を持っているので、城太郎は忘れていなかった。――宇治橋へかかる大和路の途中で、紛失したと思った手紙の竹筒を拾ってくれたあの人なのだ。彼の声に、馬上の庄田喜左衛門も気がついたとみえ、振顧って、
「おう、小僧か」
ニコと笑ったが、そのまま駒をすすめ、柳生家の石垣の内へかくれてしまった。
三
「城太郎、今、馬の上からお前を見て笑ったお人、あれは誰だ」