Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 231 525 caractères · 463 écrans
「お城の――」
「アア、あの黒い紀州犬。あの犬じゃ、いくら城太郎さんでもかなうまいよ。いつかも、お城の中へ忍び込もうとした他国の隠密の者が噛み殺されたというくらいな犬だもの」
いつも虐められているくせに、小茶ちゃんは親切に、彼を導いて、裏の流れで顔を洗わせたり、薬を持って来て付けてやったりするので、今日ばかりは城太郎も悪たれをたたかず、彼女のやさしい親切に甘えて、
「ありがと。ありがと」
くり返して、頭ばかり下げていた。
「城太郎さん、そんなに、男のくせに、安ッぽく頭を下げるものじゃないわ」
「だって」
「喧嘩しても、あたし、ほんとは城太郎さんが好きなんだもの」
「おらだって」
「ほんまに」
城太郎は、膏薬と膏薬のあいだの顔の皮膚を真っ赤にさせた。小茶ちゃんも火みたいな顔をして、その頬ぺたを両手で押えた。
誰もいなかった。
そこらに乾いている馬糞から陽炎が燃えている。そして、緋桃の花が太陽からこぼれて来た。
「でも、城太郎さんの先生は、もうすぐここを立つんだろ」
「まだいるらしいよ」
「一年も二年も泊っているとうれしいんだけど……」
馬糧小屋の馬糧の中へ、二人は仰向けになって転がった。