Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 143 455 caractères · 290 écrans

Aozora Bunko

“文身自慢の会”に、十二支組の仲間らしいのは、蛇の文身の男より外には、一人も来た様子はありません。すると、あの上半身に十二支のうち七つまで彫った美女、あの石原の利助に縛られて行った女――というのは何だろう。

平次は腕を拱いて考え込んでしまいました。

「銭形の親分、ちょいとお顔を拝借さして下さいませんか」

磨き抜いた格子戸を明けて、慇懃に小腰を屈めたのは、石原利助の子分で、清次郎という中年男、年は平次よりだいぶ上でしょうが、岡っ引の子分よりは商人といった感じのする、目から鼻へ抜けるような性の男です。

もっとも頭の良い平次には、少し勘定の合わないガラッ八がちょうどいい相棒であったように、石原の利助のような、年を取った伝統主義の岡っ引には、こうした世才に長けた子分も必要だったのでしょう。

「お、清次郎兄イか、用事は何だ」

と平次。

「大変なことが起りました。ちょいと親分に八丁堀までお出でになるように――と、笹野の旦那様のお言葉添えでございます」

藍微塵の七三に取った裾を下ろして、少し笑まし気に傾けた顔は、全く利助の子分にはもったいない人柄です。

「どうしたというんだい」