Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 143 455 caractères · 290 écrans

Aozora Bunko

「…………」

「生れて初めて入った十両の金だ。一人で費っちゃ冥利が悪いから、とりあえず親分に見て貰うつもりで持って来ましたよ。ね、何かこう役に立てるような口はありませんか、親分。差当り払う当てがなかったら、地所を買うとか、家を建てるとか――」

ガラッ八は悉くいい心持でした。七八枚の小判を畳の上へ並べたり、重ねたり、チャリンと叩いてみたりするのです。

「止してくれ、俺はその音を聞くと虫が起きるよ」

「へッ、負惜しみが強いね、親分」

「馬鹿な野郎だ。八両や十両で、江戸の真ん中に家が建つ気でいやがる」

「家なんか建たなくたって構やしませんよ。これだけありゃ大福餅を買っても、随分出がありますぜ」

「呆れて物が言えねえ、――だがな、八、見す見す大なまくらと知って、手前の脇差を十両で買うのは少し変じゃないか」

「変じゃありませんよ、気に入りゃ、跛馬だって買いますよ」

「待ってくれ、――こいつは少し臭いぞ」

銭形平次はもう一度長火鉢に顔を埋めました。暮のやり繰りと違って、こいつはどうやら思案の仕甲斐がありそうです。それを真似するともなく、八五郎も高々と腕を拱きました。

畳の上に並べた七八枚の小判も、何となく引っ込みのつかない姿です。