Classici giapponesi con furigana
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チベットりょこうき
チベット旅行記
河口 慧海
Leggi チベット旅行記 (チベットりょこうき) di 河口 慧海 (かわぐちえかい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 531.520 caratteri · 1042 schermate
第二十九回 山上雪中の大難(続)
雪中の夢うつつ
いかにも淋しく感じましたがどうもして見ようがない。何か遣りたいと思っても其辺に草もなし。自分はもとより午後は一切喰わんのが規則ですからただ懐中から丁子油を出して夜着を着て居る窮屈な中で身体へ塗り付けました。すると大分に温度が出て参りました。
一体油を塗るということは外界の空気の侵入を禦ぐと同時に体温を保つ効能があるようです。殊にこの丁子油は体温を保つ目的をもって拵えたものであるから非常に暖みを感じたです。それからまた口と鼻から出るところの呼吸を止めるような塩梅にして居りましたが、それはこの呼吸が当り前に外へ出たり内に入ったりして外界と交通しますと身体の温度を保つに困難であろうという考えであったです。こうして余程温度を保って居りましたが、十二時頃からどうもだんだんと寒さを感じて非常に感覚が鈍くなって何だかこう気が変になってぼんやりして来たです。人間の臨終の際というものはこういう具合に消えて行くものであろうかというような感覚が起って来たです。
第二十九回 山上雪中の大難(続)
雪中の夢うつつ こりゃどうも危ない。しかし今更気を揉んだところで仕方がないからこのまま死ぬより外はあるまい。