Classici giapponesi con furigana
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チベットりょこうき
チベット旅行記
河口 慧海
Leggi チベット旅行記 (チベットりょこうき) di 河口 慧海 (かわぐちえかい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 531.520 caratteri · 1042 schermate
三日目に馬は谷間の方から先に廻し、私達は世に謂う深山幽谷というのは真にこういう所を言うのであろうというような恐ろしい深山幽谷の間を歩いて参りますと、カックー、カックーという杜鵑の声が幾度か聞こえます。その時に
ヒマラヤの樹の間岩間の羊腸折
うらさびしきに杜鵑啼く
そういう淋しい山の間を通って参りましたが、人は一日二日交わって居る間は誰も慎んで居りますからその性質等も分らんけれども、長く伴うに従って自からその人の性質も現われて来るもので、二人の荷持のうち一人は非常に大きな男でごく果断な質、一人は甚だ温順ですがちょっと読み書きも出来るという訳で大分に自負心も強い。それが果断の人の気に喰わないで折々衝突が起ります。お婆さんの巡礼は正直な人で二人の荷持については何事も知って居るらしく見えます。私は誰にも同じように付き合って居ります。殊にそのお婆さんは大変に酒好きですから宿場に着くと荷持は申すに及ばずそのお婆さんにも同じように買って遣ります。またいろいろ人からくれた物などがあると、殊に老人は可哀そうですから沢山遣るようにして居りました。老婆はそんな事に感じたのかあるいはまた私が日に一度ずつ飯を喰って少しも肉類を喰わぬということに感じたものか、何しろ大変私を敬うて少しも巡礼視するような風が見えませんでした。