후리가나로 읽는 일본 고전
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
吉川 英治의 宮本武蔵(五)(みやもとむさし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 508,883자 · 1017화면
そういう意味で、今、ここの扇屋の牡丹畑を去るにつけても、彼は無益な日を費やしたとは少しも思わなかった。むしろ、余りに緊りきっている生命へ、暢々と、天然放縦のわがままを与えて、酒ものみ、転寝もし、書も読み、画筆も弄び、欠伸もしたりして、存分に過ごした日が得難い貴重な日であったと感謝されるのだった。
(――その礼を、吉野どのに一言いいたいが)
と、武蔵は、扇屋の庭に佇みながら、彼方の花やかな灯影を見ていた。けれど奥深い座敷の方には変らない「買手ども」の猥歌や三絃が満ちていて、吉野にこっそり会って行く術もない。
(ではここから)
と武蔵は、胸のうちで、別れを告げ、また三日にわたるあいだの彼女の好意にも、心から礼を告げてそこを去った。
――裏木戸から外へ出て、待たせておいた城太郎の影へ、手をあげて、
「さ、行こうぞ」
呼びかけると、その後ろから、城太郎とはべつに、小走りに追いかけて来た者がある。
禿のりん弥であった。
りん弥は、武蔵の手へ、
「これ、太夫様から――」
となにか渡して、すぐ木戸の中へ駈けこんでしまった。
小さく結んだ一片の紙きれである。色紙ほどな懐紙であった。