후리가나로 읽는 일본 고전
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
吉川 英治의 宮本武蔵(五)(みやもとむさし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 508,883자 · 1017화면
「オヤいけない、石山寺の上があんなに暗くなりました。一雨来ますよ。もっと奥へおはいりなすって下さい」
茶店の亭主が、あわてて葭簀を巻き、雨戸を横に囲い始める。なるほど、江の水はいつのまにか鉛色に見え、そよ風は雨気を囁きはじめて、藤の花の紫は、まさに死なんとする楊貴妃の袂のように、遽に咽ぶような薫いを散らして顫いている。
――サアッと、その弱々しい花から真ッ先に目がけられたように石山颪が小雨をぶっつけてくる。
「アッ、雷さまだぞ。ことしの初雷だ。お通さん、濡れちまうよ。お師匠さまも奥へおはいりなさいよっ、座敷のほうへさ。アアいい気持だ。この雨は、ちょうどいいや! ちょうどいいや」
なにが丁度いいのやら、深い意味でいうわけでは勿論ないが、そう彼にいい囃されては、武蔵もよけいにはいり難い。お通も顔を紅らめて、雨に砕ける藤の花と共に、縁の端に立って濡れていた。
「オオ、ひでえ!」
菰をかぶって、白い雨の中を、傘みたいに飛んで来た男がある。
四宮明神の楼門の下へ馳け込むなり、ほっと、髪のしずくを撫でて、
「まるで、夕立だ」
と、迅い雲あしへ呟いた。
見るまに四明ヶ岳も湖水も伊吹も乳色になって、ただ滌々と雨の音しか耳になかった。