후리가나로 읽는 일본 고전
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めいきょくけっていばん
名曲決定盤
野村 あらえびす
野村 あらえびす의 名曲決定盤(めいきょくけっていばん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 344,837자 · 680화면
であろう。あのレコードが日本へ来たのは、大正十二年の春(一九二三年)震災の少し前、クライスラーやゴドフスキーが日本を訪ねた頃だ。ふとしたことであのレコードを発見した私は、文字通り狂喜したものだ。その前年日本を訪ねた老ホルマンが、世界の音楽界を語って、――ヴァイオリンはイザイエかクライスラー、ピアノはパデレフスキー、歌はシャリアピン――と世界の第一人者を挙げたのを聞いていたし、かつてシャリアピンの『ボリス』その他のレコードも知っていたが、『ヴォルガの舟唄』を聴くに及んで、私は完全に帽子を脱がされたことを記憶している。
シャリアピンの特別な発声法――あの喉と鼻を使った宏大なホーンで作られる声は、どう聴き直しても、複数の声の音色――大勢の人が斉唱で歌っているとしか思われなかった。それにかつて大田黒氏が書いたことのあるピアニシモの美しさ――。私は初めて第五シンフォニーのレコードを求めた少年のように、このレコードを毎日聴いた。その頃医者の禁を破ってクライスラーの音楽会を聴いて高熱を発していた私は、病床に仰向けになりながら、甥や伜にこの『ヴォルガの舟唄』をかけさせて、誰が描いたか知らぬが、ヴォルガ河曳船の暗澹たる絵を思い出しながら、抵抗療法的な快味を貪っていたものだ。