후리가나로 읽는 일본 고전
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
吉川 英治의 宮本武蔵(五)(みやもとむさし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 508,883자 · 1017화면
乳
一
「……ウウム……ウウム」
婆は時々、陣痛をこらえるように、牛の背で呻いていた。
その婆を乗せた牝牛の手綱を持って、武蔵は、牛の先に歩いてゆく。
振顧って――
「おばば」
武蔵は、慰めていう。
「苦しければ少し休もうか。――おたがいに急ぐ旅ではないからな」
「…………」
牛の背に俯ッ伏したまま、お杉婆は無言だった。その無言のうちには、仇と思う人間のために、こういう世話になるのを好まない性来の勝気が――むしろ無念そうに顔の底に潜んでいた。
で――武蔵が優しく劬われば劬わるほど、
(なんの、汝れなどに、不愍をかけられて、怨みを忘れるような婆ではないぞ――)
と、強いて憎悪に努め、よけいに反感を昂めるのだった。
けれど、まるで自分を呪うために長生きしているかのようなこの老婆に対して、なぜか武蔵はそれほど強い憎しみも敵愾心も持たなかった。
力と力との対立では、余りに弱過ぎる敵であるせいもあろうが、その実、きょうまでの間に、計られたり、陥れられたり、武蔵が一番苦しめられた敵は、この最も腕力のない年寄りの敵対行為であった。――にもかかわらず、どういうものか、武蔵にはこの年寄りを、心から敵だと思うことができないのである。