후리가나로 읽는 일본 고전
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
国枝 史郎의 蔦葛木曽棧(つたかずらきそのかけはし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 335,908자 · 669화면
闇の中より笑い声
ああ有難し有難し」
闇の中より笑い声
右門は優しく振り返り、
「今日は是非とも洗馬を越えて贄川辺まで参りたくあれど、女の足のご難儀ならば元山の宿で宿まりましょうほどに、ゆるゆるとおいでなさりませ」
山尾は眼もとに媚を持たせ、「いえいえ大丈夫でございます。女でこそあれこの私も、旅には慣れておりますゆえ、日のあるうちに贄川まで、きっと参るでございましょう」
「木曽街道と申しますと、日本第一の大難道、さぞお運び難うございましょう。至る所に山賊などが、巣を食っておると申すこと、白刃忽ち頭に落ちて、命をおとす者もありますとか、気をつけて参ることに致しましょう」
「たとい山賊猛獣などが、山ほど襲って参りましても、あなたと一緒にいると思えば恐ろしいことはござりませぬ」
「そのお言葉ではこの私こそかえって恐縮いたします。私はほんのやくざ者、陰陽秘術の体得者たる山尾殿こそ私にとっては百万の味方とも思われます」
などと互いに語りながら、桔梗ヶ原も打ち越えて、次第に重なる山々谷々の、岨道を踏み分けて進むのであった。
こうしていつか真昼も過ぎ、晩鴉虚空を渡りながら塒を求めて啼く声が、轟く渓流の音に和して、旅人の心を傷しめる夕暮れ時に近づいても贄川は愚か、洗馬へさえも、至り着くことが出来なかった。