후리가나로 읽는 일본 고전
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
吉川 英治의 宮本武蔵(五)(みやもとむさし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 508,883자 · 1017화면
「吉田山の松尾? ――元吉田山にいてこの辺りへひき移って来た家と申すか」
「そうと知らなかったので、とんだ無駄足をいたしましてな。いや、ありがとう存じました」
「待て待て」
武蔵は二、三歩出て、
「近衛家の用人を勤めていた松尾要人の家へゆくのか」
「その松尾様が、たった十日ほどわずろうて、お亡くなりなされました」
「主人が」
「へい」
「…………」
――そうか。と呻くようにいったまま、武蔵はもう歩いていた。柩屋も反対な方へ歩いていた。取り残された小犬が、あわてて後から転がってゆく。
「……死んだか」
口の裡でいってみた。
しかし武蔵はそれ以上なんの感傷も抱かなかった。――死んだか。実に、そう思うだけだった。自己の死すら感傷になれないのである。いわんや、他人をや。爪に灯をともすように、生涯いじいじ小金を蓄えて死んで行った酷薄なる叔母の良人――
それよりは、武蔵はむしろ、飢えと寒さにふるえた元日の朝、加茂川の凍った水のほとりで焼いて喰べた餅のにおいの方が今ふと思い出された。
(美味かったな)
と思う。
良人にわかれて独りで暮す叔母を思う。
すぐ彼の足は、上加茂の流れの岸に立っていた。