후리가나로 읽는 일본 고전
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
吉川 英治의 宮本武蔵(五)(みやもとむさし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 508,883자 · 1017화면
――落ちているお通の匂い袋を、足の下に踏みにじって、じっと、山の声を聞くかのように俯向いていたかと思うと、
「そうだ」
真っ直ぐに、滝のほうへ向って歩いて行った。あの下り松の剣の中へ、身を投げこんで行く時のように、濃い眉毛をがっきりと寄せて。
……鋭い小鳥の声が、劈くように翔け去ってゆく。風のせいか滝の轟きが急に耳へついて、一朶の雲の裡に、陽の光も淡れて来たかのように思える。
――お通は、武蔵のいたその場所から、わずか二十歩ほどしか逃げていなかった。白樺の幹にひたと身をつけて、彼女は先刻からじいっとこっちを見ていたのである。自分が武蔵をそんなに苦しめたことが明らかに分ると、いまいちど、武蔵が自分の側に来てほしいと思った。さもなければ、自分から走り寄って詫びようかとも思って迷う様子であったが、しかし、脅えた小鳥の心臓のように、まだ強い戦慄が止まないで、体は他人のもののようだった。
四
泣いていないお通の眼には、泣いている以上の、恐怖だの、迷いだの、悲しみだのが、掻き曇っていた。
この人こそと、信頼していた武蔵は、彼女が、自分の胸の中で、自分勝手に描いていた、幻想の男性ではなかった。