후리가나로 읽는 일본 고전
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まつのやろはち
松のや露八
吉川 英治
吉川 英治의 松のや露八(まつのやろはち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 125,597자 · 253화면
と、捕吏の一人が、
「誰だっ。そこにいるのは」
ふいに、道傍へ提灯を翳して咎めた。
がさッ――と藪が鳴った。西瓜を抛り込んだように青い坊主頭がやぶの中に沈んだようだった。人間らしいものが木の葉をかぶってジッと呼吸をころしているような気もする。鈴木は、足をとめて、
「怪しい奴だ。ひきずり出してみろ」
と、云った。
半蔵は、あわてて、
「いや、坊主じゃ、坊主じゃ。このあたりにうろついている、乞食坊主でござる」
鉄之丞も、ともに、
「あの坊主、気の変な、色情狂人というではないか。ははは、お上のご人数を見て、あわてて、藪へ飛びこんだな。藪に住み、坊主に、浮世の風は毒、藪がいいぞよ。藪から出るな」
そのことばを、何と聞いているか、藪の中の庄次郎は、木の葉も動かさなかった。
「乞食か――」
鈴木は、呟いて、
「ははは」
と、自分の前言を、笑い消した。草鞋の音は、彼の迅い脚どりを追って、ばらばらと坂の下へ消えた。
後の闇にきりぎりすが啼きぬいている。藪の中からは、のっと、月が出るように、剃りたての坊主頭が伸びあがっていた。
「弟……」
藪を跨ぐと、庄次郎は、腕ぐみをして、のこのこと歩きだした。