후리가나로 읽는 일본 고전
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まつのやろはち
松のや露八
吉川 英治
吉川 英治의 松のや露八(まつのやろはち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 125,597자 · 253화면
二
「なぜ?」
「弟に会えなければ、俺は、帰るよ。実は、浜中屋のお菊ちゃんと、穴守の磯茶屋で会う約束がしてあるから」
「女など……」
渋沢は、歯痒い顔をした。軽蔑する以上の愍情がわいて、腕ずくでも、この男を鞭撻し、発奮させて、有為な武士に仕立ててやらねばならぬと思った。それは友情だ、国家のためだと考えた。
で、涙を流さんばかりに意見した。時勢の帰趨を説き、皇道を説き、またこの機運に乗らなければ、生涯の悔いを青春に回顧しなければならないと云った。
「さ、行こう」
「…………」
「僕に従いて来たまえ。京都は今、旋風の中心だ、江戸のような惰気や、自暴はない。もりあがる力が大地にも感じるぞ。君の考え方もきっと変わる」
「…………」
渋沢の熱心には衝たれながら、露八の頭には、お菊ちゃんだの、お喜代だの、お蔦だの、女たちの影が映して決意を躊躇わせた。
渋沢は、焦れったそうに、彼の腕を、自分の腕へ捲きこんで引っ立てた。
「第一、江戸へ帰れば、早晩貴公も、八十三郎の連累として、召捕られる。また、どの顔さげて、江戸の街を、その頭で歩けるか――」
「それは、歩けない……」
「そういう良心もあるくせに。