후리가나로 읽는 일본 고전
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まつのやろはち
松のや露八
吉川 英治
吉川 英治의 松のや露八(まつのやろはち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 125,597자 · 253화면
四
四
沼の凪みたいな哀傷に暮れていた土肥家では、まだどの部屋にも燈火は点いていないはずだった。だのに、そこだけ蝋燭の光が揺れているのだ。そして、どこからか、
(泥棒――)
風のような声が、それを外から土肥家の人々へ教えて行ったのである。
半蔵も、鉄之丞も、愕然とした顔を持って、八十三郎の部屋へ駈け集まった。むろん、八十三郎は、誰よりも早く、誰よりも血相を変えて来ていた。
「誰だッ」
襖も外れそうな勢いで、真っ先にそこを開けたのも彼だった。眼を射られたような声がそれとともに後の人たちの口から走った。書架も机の抽斗も、押入の行李まで、大風の跡みたいに掻き廻されているではないか。狼藉にとり散らされた反古を踏みつけて、腕にも、反古の綴物や、手紙や、蘭書らしい本などを、一抱えほどもかかえている眼の鋭い与力風の男と、一人の町人とが、手に蝋燭を持って、家人の殺到にも、かくべつ、驚いた顔もせずに平然と立っているのであった。
「此方は、南の与力、鈴木藤吉郎じゃ、これにおるは、小倉庵の長次――」
こう爽やかに名乗られると、八十三郎の顔いろは、見るまに、蒼じろく冴えてしまった。