후리가나로 읽는 일본 고전
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まつのやろはち
松のや露八
吉川 英治
吉川 英治의 松のや露八(まつのやろはち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 125,597자 · 253화면
私が連れ添っているものは、昔と変わらないこれだけです」
と、被布の紐を解いて、帯の前をのぞかせた。帯にはなるほど、冷たい一管の笛ぶくろが、お菊ちゃんの清麗を保証するように差してあった。
「ま。お上がんなさい」
「上がってもいいの。お蔦さんとやらがいるんじゃないかえ」
「へへへ。そんなのがいるくらいなら、床の間に今戸焼の鍋釜を乗っけちゃあおきませんやね」
お菊ちゃんは、後ろを向いて、
「師匠――。お茶でもご馳走にならないか。露八さんを、知っている?」
「ぞんじません」
「じゃ、初対面だね。露八さん、この人は、吉原の金瓶大黒の身寄りで、桜川三孝という道楽者ですよ。上野の戦争の後、浜中屋のおっ母さんだの、芙雀だの、団十郎だのと、一緒くたに逃げて来て、ずるずるべったりに静岡で暮らしているんです」
お菊ちゃんの伝える消息によれば、この静岡には、露八の親類も友達も、その当時、みんな流れこんで来たらしい。徳川慶喜公は宝台院に謹慎中であるし、戊辰前に洋行したという噂のある渋沢栄一も帰朝して、一頃、静岡の紺屋町に商法会所を創立して頭取となっていたが今では新政府の官員になって東京に羽振りをきかせているという。