일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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まつのやろはち

松のや露八

吉川 英治

吉川 英治의 松のや露八(まつのやろはち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 125,597자 · 253화면

아오조라 문고

露八の耳をそばだてさせた今の音は、その船に、端然と坐っている清麗な佳人の手にある横笛のすさびであった。

それが、お菊ちゃんであることは、感能でわかった。――だが、お菊ちゃんのまえにもう一人、泣いてでもいるらしい町風の嫋女がややくの字形に坐って俯向いている。露八は、眸の力のあらんかぎりで、船が、もっとも近いところを過ぎるのを待っていたが、やがて、

「あっ、お喜代だ……、お喜代だ……」

囈言のように云って、露八は身を浮かした。

お喜代っ――と声かぎり呼びたいような感情に彼は駆られた。しかし、彼女は聖僧の法典にでも聴き入るようにお菊ちゃんの笛の音に耳も心も傾けているらしかった。お菊ちゃんの身構えはまた冷々として氷柱か石のように、そして、すさぶ横笛は、平家の栄華を見、平家の末路を眼でみた、あのころの白拍子のなげきのように、恋も、巷のことも、永い人生も、すべては、繰り返し繰り返しさるる是空の色現色滅であるにすぎないと教えてでもいるかのように、また、自分自身をなぐさめているもののように、心なき者の胸へも、秋のあわれが、谺してきた。

隣の女中部屋で、女中たちの噂ばなしが洩れた。