후리가나로 읽는 일본 고전
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まつのやろはち
松のや露八
吉川 英治
吉川 英治의 松のや露八(まつのやろはち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 125,597자 · 253화면
「家に戻ってから、断乎たる処分をいたす。八十三郎、そちは、この馬鹿者を逃がさぬようにしょッ曳いて、一足先に、屋敷に帰っておれ。逃がしてはならんぞ。逃がすと、そちも、勘当だぞ」
八十三郎は、兄の腕を組んで、
「兄上、お歩きなさい」
庄次郎は、首を垂れて、引かれて行った。平岡の窓を通ったとき、ちらと、横眼づかいに、渋沢の書斎を見た。もう、逃げたか、静かだった。
八十三郎は気の毒そうに、
「兄上、お逃げなさらなければ、この手を離して上げますが、逃げますか、逃げませんか」
「離してくれ、逃げはしない」
「きッと!」
「うむ、きッとだ」
「じゃあ……」
と、八十三郎は、組んでいた腕を解いた。停まっていた腕の血管にいちどに血がながれた。庄次郎は、痺れをさすりながら、弟の謹厳な横顔を偸み見て、父のように弟が怖い気がした。
「先へお歩きなさい」
藩邸の長屋門を出ると、河ぶちだった。庄次郎は、突然な出来事にすっかり忘れていたが、そこに、身を伏せていた捕手たちは、二人の姿を見ると、やにわに、影を躍らせて、八十三郎の方へ、打ってかかった。
「あっ――」
弟の叫びに、吃驚して振り向くと、八十三郎は、八、九名の捕手に、脚や手を持たれ、喉輪に、十手を噛まされていた。