후리가나로 읽는 일본 고전
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
国枝 史郎의 蔦葛木曽棧(つたかずらきそのかけはし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 335,908자 · 669화면
連れにはぐれた一羽の烏が山の中腹を飛んで行くさえ、夕暮れの寂しさを増して見せる。
藪原の駅路は、この時刻から、かえって賑かになるのであった。往く人来る人、それらの人は、いずれも長者の門を潜って、女菩薩を拝もうとするのであった。
四十年輩の立派な武士が、深い編笠を冠ったまま、長者の館の門をくぐり、ずっと玄関へ差しかかったのは、ちょうどその頃のことであった。
「主人に少しく御意得たい」
武士は錆のある重々しい声でそこにいた下僕にこう云った。
「あなた様はどなた様でございますか?」
下僕は丁寧に訊き返す。
「名をなのるにも及ぶまい。主人に逢うたら解るものじゃ」
下僕はそこで引き退がったが、やがて再び現われると、武士を座敷へ導いた。
花卉の大幅を一杯に掛けた、豪奢の床の間を背負って武士は悠然と坐ったが、冠った編笠は脱がなかった。
間もなくはいって来た藪原長者は、武士が冠り物を脱がないのを苦々しそうに睨んだが、それでも下手の座に着いた。
「拙者がお尋ねの藪原長者、何かご用でもござるかな?」長者はぞんざいに云うのであった。
「藪原長者とはそこもとか」武士もきわめて横柄に、「少し訊きたいことがある……大勢のお伴をお連れなされた、立派な白髯のご老体が、近頃再々そこもとの館へお通いなさるると云うことじゃが、それは本当でござろうな」